青葉三丁目計画に関する公開質問状・全文
青葉三丁目高層マンション建設計画に関する要望および公開質問状
1 島本町青葉三丁目における高層マンション建設計画の問題点について
① 西国街道の交通に関して
計画されている青葉三丁目の西国街道は、近年のマンション増加および島本駅から水無瀬駅間の交通渋滞の影響から、交通量が増えています。数年前には、信号がない場所で道を渡ることは困難ではなかったですが、最近は難しくなりつつあります。また西国街道のこの区間、歩道が整備されていない場所が多いです。旧NTT社宅の区間には水路に乗り上げる形で1mほどの歩道があり、北側から三か所車道と橋が渡されていますが、それも幅が狭く、車道から出入りできる橋が少ないため利用しづらい歩道となっていました。結果、現状、自転車だけでなく歩行者の多くが車道を通りがちですし、車道も幅が5~6mしかないため、車が自転車や歩行者を追い抜くことが難しい状態で、交通量の増加に伴い、渋滞しがちで、事故の危険性が増しています。
そこに、今回、296戸、駐車台数267台のマンションができることになります。人口が1000人ほども増えることが想定される計画です。しかもマンションからの出入り口が、青葉ハイツの南側の出入り口に近接しており、西国街道、青葉住宅からの道、青葉ハイツからの道(北側、南側二つに分かれる出口)などとともに五差路のような形状になっています。西国街道を車が行き来し、歩行者や自転車が通る中に、青葉ハイツ、青葉住宅、マンションから車が出てくるということで、青葉ハイツにおける説明会ではこの交差点の安全について危惧する声が一番多かったです。また、ここで交通が滞ることで西国街道全体への渋滞と繋がることも考えられます。上牧へと続く坂道では事故もあり、そういった影響も懸念されます。
また、新たに幅の広い歩道がマンションの敷地内に新設されるということで、そのこと自体はもちろんありがたいのですが、よく計画を見ると、その新設される歩道への出入りできる橋が3か所しかなく、使い勝手の悪い歩道になっており、根本的な解決にはなっていません。
そこで、質問です。町は今回このマンション建設に関する協議に当たり、現在の西国街道の交通状況についてどのように把握されていますでしょうか。また、今後、この地域の西国街道の安全を確保するため、どのような対策を計画されていますでしょうか。ご回答ください。
② 地域の公園がさらに不足します
島本町は島本町の住民一人あたりの公園面積が国平均の半分以下ということで、そもそも公園が不足していることは今までも多くの方が指摘してきました。各種行政のアンケートにおいても、公園を増やしてほしいという住民の声はあがっています。特に青葉地域には大きい公園、小学校中高年以上の児童がボールなどを使って遊べるような場所が足りません。青葉ハイツ内で人気があるのは近くの青葉公園、そして広場のある柳原公園です。しかし2つとも、混雑していることが多いため、子供たちは楠公さんや、メゾン水無瀬の公園など、空いている公園を探して自転車で転々とすることがあります。時には水無瀬川緑地公園まで自転車で20分ほどもかけて足を延ばすこともあるようです。狭い西国街道を幾人かの児童が自転車で列をくんで、車とふれあいそうな距離で走っている様子は毎日のように目にします。
そのような現状であるのに、さらに人口1000人規模のマンションが建つとなると、この地域における公園の不足はさらに拍車がかかると思われます。今回マンション建設に伴い、地域に開かれた形で整備される公園は80平米ということで、青葉公園の広さの10分の1以下です。都市計画法に基づいた大阪府の開発許可の審査基準のうち、公園に関する基準(都市計画法第 33 条第1項第2号、政令第 25 条第6号、第7号、省令第 21 条、第 25 条)にそえば、0.3 ha以上5ha未満の宅地開発であれば、敷地面積の3%つまり、352㎡の公園が必要です。しかし今回の計画は、建築物の建築のために行う土地の地目と区画形質の変更がないため、いわゆる「建て替え」と同様で、府の開発許可は不要なのだそうです。結果、開発に伴い人口が増え、公園の需要は大きくなっているのに、交通の危険性も含め、子供が育つという環境としてはむしろ劣悪になる一方です。また現在JR島本駅西の区画整理事業において約4000㎡の広さの公園を作る計画があります。この公園は第三小学校区域の子供たちにとって、利用しやすい距離になりますが、予想される人口に比して、公園の面積が小さいという意見を聞いています。
そこで質問です。町は第三小学校区域において、JR島本駅西の区画整理事業、および、今回の青葉三丁目計画によって人口はどれだけ増加すると推定されていますでしょうか。具体的な数と根拠となる計算をお示しください。その際、同区域における公園はどれだけあり、合計でどの程度の面積になると推定されていますでしょうか。
また、今回の青葉三丁目計画に対し、公園の設置に関わって何らかの指導は行われたのでしょうか。あるいは第三小学校区域に、今後さらに公園を整備する具体的な計画があれば教えてください。
2 島本駅西側開発と重なることで起きる、保育・教育環境の悪化について
① 近隣地域のこれまでの保育・教育環境について
私どもには10歳の子供がいますので、青葉や桜井地域の子供たちの保育、教育の環境について、実際の現状を見聞きしてきました。2013年ごろ、島本町においては、まず保育園が見つかりませんでした。うまく保育園に入所できても、過密で、過密がゆえの子供同士のトラブルに悩まされました。大阪府ワースト1の待機数であった時期も何年かあり、移動に苦労しながら他市の保育園に預けていた親御さんもたくさんいます。2018年以降、保育基盤整備加速化計画のおかげで、少しずつ待機は解消されてきましたが、今度は耐震化のために第四保育園の園児たちはふれあいセンターへの臨時転園をよぎなくされました。続いて第三小学校に入学するとやはり耐震化工事のために、プレハブ校舎を利用することになり、ただでさえ小さめの運動場は半分ほど使えない状況となりました。
2022年の今になり、ようやく保育の待機も解消し、町立保育園も、小学校も耐震化工事が終わり、新しい素敵な環境で育つことができるようになったと思ったら、開発ラッシュが起ころうとしています。現在わかっているだけで、島本駅西開発と青葉三丁目計画があります。
先日町議会において中田議員が質疑された際、町は今後、2250人の人口増となった場合、保育園は弾力的運用が必要となること、つまり、また定員を広げての過密状態となること、そして第三小学校ではグラウンドの広さが不足し、教室が足りなくなり、学童室や図書室の半分、少人数学習室を転用せねばならなくなる可能性を認めました。長子のときに十年我慢したのに、第二子も、というような保育、教育環境なわけです。そのうえ、青葉三丁目計画が進めば、駅西の開発と合わせ、人口3000人増も十分ありえるのです。
現在、2023年度以降の運用となる景観計画の策定が島本町で進められています。一方2021年度には大東建託の調査による「住み続けたい街ランキング」で全国一位となり、話題になりました。つまり島本町は今、全国の建設・不動産業者に注目される地域になっています。これらの状況のために、島本町に置いて、開発の機運が、景観計画が策定されるまでにさらに集中して起きてくることを危惧しています。
島本町全体で見れば、大規模マンションの建設可能な場所はまだまだあります。そのうえ、第三小学校区においても、まだ計画が決まっていないNTT社宅跡が残っていますし、田畑が残る場所もあり、中層階のマンション建設なら、令和5年度までに起こりうる余地が十分あるように思います。300人、200人といった人口規模の宅地開発がさらに駅西や青葉三丁目の開発に上乗せされれば、いったいこの地域の保育・教育環境はどうなってしまうのでしょう。町はそのことを考えているのでしょうか。第三小学校区に育つ子供たちはずっと町に見捨てられているように感じます。
その上で質問です。現在計画されている、島本駅西開発と青葉三丁目計画が実現した場合、その際の保育の利用数・第三小学校の児童数・学童保育利用児童数の予測についてもお示し下さい。当然試算されていることと思います。
また「学童室や図書室の半分、少人数学習室を転用せねばならなくなる可能性」についてですが、それでは教室が不足した際には図書室は今の半分の大きさになるということでしょうか。また学童室、少人数学習室はどのようになるのでしょうか、お答えください。
② 島本町における「持続可能な開発」のために今こそ「教育環境保全のための住宅開発抑制に関する指導要綱」の策定を
上述したように、急激な開発が町で起こってしまった場合、急激な地域の環境の悪化が起こり、そして、それをカバーするために一時的に多額の公金支出が必要になります。しかし、全国的な少子化、人口減の現在、大慌てで子供のための環境を用意できたとしてもいずれは使わなくなる可能性も十分考えられます。20年もすれば近年増やした保育園も児童不足に悩まされるかもしれません。宅地開発のすべてが悪なのではなく、同時期に大規模な開発が重なることが島本町の財政規模に照らしたときに、かえって悪影響になってしまうことは、私が述べずとも、町もよくわかっていると思います。
先日の議会で、中田議員が「教育環境保全のための住宅開発抑制に関する指導要綱」について言及され、町も検討するという回答をされました。青葉ハイツにおける説明会においても、事業者が住民に対し、西宮市を例にだし、そのような要綱が自治体によっては設けられているので、そういう規制があれば対応せざるをえないという説明をされました。
今策定されている景観計画と、都市計画マスタープランは、実効性のある高さ制限などが盛り込まれることで、島本町の財政と生活環境とのバランスが取れるような、持続可能な開発を目指したものになる必要があります。しかし、その計画が策定される前に、今、できる限り急いで「教育環境保全のための住宅開発抑制に関する指導要綱」を決定することが、島本町の、第三小学校区の子供たちのために必要です。持続可能で、子供たちを健やかに育む島本町となるよう、決断、実行いただきますようお願いしたいです。
その上で質問です。今回、青葉三丁目計画の協議において、町は事業者に対し、教育環境保全を目的にした指導を行っていますでしょうか。行っているとすれば、どのような内容でしょうか。
また、議会において、今後、「教育環境保全のための住宅開発抑制に関する指導要綱」の策定について検討するという答弁がなされていましたが、現在検討は行われていますでしょうか。行われているとすれば、いつごろまでに結論が出ますでしょうか。
3 青葉三丁目計画における文化財調査
青葉三丁目計画が予定されているNTT社宅跡は近隣に、青葉遺跡、尾山遺跡などがあり、弥生から近世にかけての遺跡が多く発掘されている地域です。また島本町が行った、平成18年度青葉地区遺跡範囲確認調査においては、ごく狭小な調査地(青葉ハイツ内の上下水道用地)ながら「弥生時代から近世にかけての平安時代前期に相当すると思われる石製品や、弥生時代の石器など、遺跡の位置付けをするうえで重要な遺物」が発見されています。さらには「日本庭園学会誌35 水無瀬殿(水無瀬離宮)と桜井地域における庭園機構―離宮前後の桜井宮の問題も含めて―」脚注87において、豊田裕章先生が建設計画区域の西側、JR京都線に沿うあたりを、古代山陽道が通っていた可能性を指摘されています。
それで質問なのですが、NTT社宅が建設された当時、この地域において、文化埋蔵物の調査はなされたのでしょうか。なされたとすれば、それはどのような規模、内容だったのでしょうか。また、十分な調査が現在まで行われていないのであれば、今回の開発計画に際して、しっかりとした文化埋蔵物の調査が必要になりますが、それは計画されているのでしょうか。計画されているのであれば、どのような内容でしょうか。